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板の背の曲線が少し強めに感じるのは、短めな首のテーパーが強めであるから。顎の刳りがおおらかで自然ゆえ落着いたデザインにおさまる。みな同じように見える鋸のシルエットも見慣れると産地くらいはわかる。これは東京調布近辺の二見屋系の形。甚八、岩作、沖五郎ら名工を輩出。祖は伊勢二見ヶ浦。

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ハードユーズ＝人工乾燥カッチカチをバンバン掘って、ん？であると。非常に良い刃は付くものの、同作者鑿十数本の中では、少しだけ異なった摩滅をすると。古物で買った清忠の一本がやたらと永切れし、それを基準にしてるので判定眼は厳しくなる。いいぞいいぞ〜本当の仕事道具として使ってもらえてる！

「ヴァレリー芸術と身体の哲学」の補色に関わる論考を、面の構成たる立体物としての彫刻にあてはめると、個々の面とその補色関係とも言うべき面が対置して交互に明滅し、補色的(いわば空想の)面が製作者の身体反応に由来すると考えれば、高村光太郎の木彫小物の不思議な緊張の謎が少しは解けるのかも。

甲丸シノギ鑿。背及び左右傾斜面に僅かなふくらみを持たす事で、三角断面のシノギ鑿より強度が増す。かつ焼入れ時の温度管理がしやすい。このように刃幅が狭いものでは、その効用も少なかろうが、竹中大工道具館展示の千代鶴是秀が大工“江戸熊”に作った甲丸シノギなどは、頷けるだけの形にしている。

マチ径を限界まで絞った現代の名品より、さらにマチ径が小さい１分大入鑿(古物)。20年前古物市で、錆まみれゆえ私が買いあぐねているのを、妻が買っておくものだ、と。錆取りは父の役割で“藤四郎”銘確認。父は自らが発見者(もしくは製作者)であるかの如く、その鑿のデザインの卓抜を語るようになる。

犬の“あくび返し”は信頼のしるしです。人があくびをすると、犬がつられてあくびを返すことがあります。これはただのまねではなく、「あなたと気持ちを共有しているよ」という共感と信頼のサイン。特に飼い主に対して強く起こる行動で、緊張ではなく安心している証拠とされています。あくびをしたとき、

フランス綴じの本のページを切り開くナイフ。焼入れっぱなしのままスカスカ、二枚重ねもコーティング紙も切れる。4ページ分が１袋閉じの製本ということだが、ふと疑問が。全ページ切り開いた後読むのか？読み進めるごとにいちいち切り開くものなのか？困った時の土田一郎に聞くも「知らない」と。

包丁の先を飛ばしたので直してくれと。だいぶ減らすことになるのは確かだが、刃通りの中央や刃元に大きな欠損があるよりははるかに楽な修正である。当方は機械がないので、“先詰め”加工だけで30分くらい、その後通常の研ぎ作業となる。先詰め手間はほぼ貰えないが、熱変化はゼロで直せる。ファイト！

和剃刀の研ぎは仕上砥石で数分。押し付けて研ぐ必要はなく、剃刀の自重だけで、硬く締まった仕上砥上をストロークを短く行き来させるだけ。一度洗面器の縁に刃先をぶつけて変形した痕跡がまだ残っている。砥石あたりの面積は広くなりつつあるが、いつスキ直しすべきものなのか？スクと狂いが出るのか？

科博「古代DNA-日本人のきた道-」を観たいという人(なんと鍛冶屋)と見学。人骨も道具も興味深いものばかり。美術芸術は東博及び美術館群にお任せと言った感のある科博だが、“日本最古の土偶”ってほぼマイヨール。石包丁って意外にもきめが荒めの石で作り、ワ！薄っ！6/15までながら必見。

玄翁なんざ錆びても使えるのだからと父は言う。使っているうちに自然に青黒い酸化膜がおおい赤錆の侵蝕を防ぐ状態が最も美しいに違いない。と言って、鍛冶屋が杢鍛えして磨き仕上げしたものを、使いもせずみすみす斑らに錆させるのも気がひける。で、柄をすげた玄翁にどう防錆紙を巻くべか？難しい😓。

焼入れ焼戻しが終わり、その狂いを直す時、反り気味を屈ませる事は容易だが、その逆は亀裂を生じさせるリスクがグッと高くなる。両コバに鋼が巻いてある鑿だからなおのこと。鍛治場で温めて慎重に直した。店に持ち帰り包みを開くと、、ゲッ⁉️元通りの屈みに。亀裂が入ってない証拠だが、なかなか頑固。

中砥段階。光のあて方を変え眺めまわすも、いつも通りの表情。使用者がほんの少しだけ異質というからには何かあるはずだが。人間の感覚や、ひいては勘なるものなどいい加減に違いないが、とりあえずは作業感触を頼りに何かをとらえてみようとする。数式としての解答に至った際の味気なさを知るゆえか？

夜は鑿のウラスキ側を研いで整えつつ、課題図書読了。読むとか書くは、早朝と夜に限られるが、父母の洗濯や風呂で、以前よりは時間を確保し難くなっている。が、読みたいものは読みたいし、書き上げたいものもある。趣味の鍛治作業もやめないから、欲張りなのだろう。洗濯干し、晴れて気持ちいい〜。

S君に「大田の職人」展図録(S 60年)いただく。戦前は東京市内に200名の台屋がいたが、この企画展時は掲載の台屋以外、駒形、向島、本所、板橋に各1名ずつと。そして驚くべき記述が、戦前は機械無しで1日50枚を目安に仕事した、と。伊藤宗一郎の「墨かけ荒掘り5分」と通じる。俺の台入れなんざ素人芸！

柄すげ4日間で26本。柄屋さんに「こんなに太いコミではすがらない。」と言われ、すげ込みだけ私がやるようになって四半世紀。コミの太さを世間並みにし、柄屋任せに出来れば、販売量も増やせる計算だが、ヤダなぁ😖ってものを売りたくないし、ヤダなぁ〜が隠れてしまう部分であるのも気に食わない。

昔の鋸には保護カバーを付けたものあり。簡単なものは、その鋸で薄板に挽き込みを入れただけ。中にはうっとり😍しちゃうほど上手い挽き込みのものが。で、フランス綴じ本開封ナイフの鞘もその技法で。挽き分(鋸板厚)が合う鋸を探すと、、彫刻家関野聖雲もこんな事に使われようとは思わなかったろう。

共柄刳小刀左右。シルエットとして鋭角に尖らせる形ゆえ、段付き(マチ)部でコミを設定する事で、刃面が下方へ延びてしまうのを断ち切るのが普通の刳小刀であるが、共柄となると絞りを持たせて首状にする他ない。図面を出さずに口頭で注文してみたが、、上手い！これなら研ぎやすそう。