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ぎんやんまみたいに頬に触れるからしばらくわたしは静かな水面 ╱toron*『イマジナシオン』

けれどまた笑ってほしい今朝虹が出ていたことを告げる回診 ╱田丸まひる『硝子のボレット』

目を閉じた人から順に夏になる光の中で君に出会った ╱木下侑介『君が走っていったんだろう』

それは世界中のデッキチェアがたたまれてしまうほどの明るさでした ╱笹井宏之『ひとさらい』

マグカップ落ちてゆくのを見てる人、それは僕で、すでにさびしい顔をしている ╱千種創一『砂丘律』

羽虫どもぶぶぶぶぶぶと集まって希望とはその明るさのこと ╱虫武一俊『羽虫群』

グッモーニン人生どうでも飯田橋人生どうにか鳴門大橋 ╱初谷むい『わたしの嫌いな桃源郷』

私に想われてどうするつもりの人ならむ電柱のように夏に立ちいる ╱花山周子『花とマルス』

あずにゃんのフィギュアを買いに行くときの心まみれの心のことを ╱郡司和斗『遠い感』

メールでは言えないことを電話でも言えずに会って忘れてしまう ╱谷川電話『恋人不死身説』

給食で育ったくせに十万字インタビューみたいに喋ってる ╱伊舎堂仁『トントングラム』

いおうええあえいああいと舌の無い口に背中を押されて帰路は ╱田中ましろ『かたすみさがし』

星座にも干支にもならず土曜日のわたしの膝におさまった猫 ╱岡本真帆『水上バス浅草行き』

退職の一日前に胸元のペンをとられるさようならペン╱山川藍『いらっしゃい』

射してくれ　ひかりのようにこれまでのすべてが必要だったと言って ╱初谷むい『花は泡、そこにいたって会いたいよ』

家々を追はれ抱きあふ赤鬼と青鬼だつたわれらふたりは ╱小佐野彈『メタリック』

寝て起きて麦茶をのんでまた眠るがんばりたい人だけがんばって ╱北山あさひ『崖にて』

両方の手首をデスクに置いたとき断頭台のつめたさはある ╱飯田彩乃『リヴァーサイド』

午後10時　月が大きい　今もまだ信じる魔法がいくつかはある ╱加藤千恵『たぶん絶対』

生活というのはわからないけれどあなたと水を分かち合うこと ╱土岐友浩『Bootleg』