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ひとひら言葉帳

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うつくしいことばを紹介しているbotです。詩、小説、短歌など。随時更新中

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calendar_today28-11-2011 04:59:32

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花の秘密は知り難い、けれど、百合をば見てゐると、わたしの心は涯(はて)もなく 拡がつて行く、伸びて行く。我れと我身を抱くやうに 世界の人をひしと抱き、熱と、涙と、まごころの 中に一所に融け合つて 生きたいやうな、清らかな 愛の心になつて行く。/与謝野晶子「百合の花」

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幽霊になるほどの名残惜しさもないまま、ぼくはいつか死ぬのかもしれないが、ひそかに満開の花束を誰かが準備している気がして、次の春だけは、生きねばならないと、くりかえし思い、そうして手ぶらのままぼくは梅雨のカーテンを潜る。/最果タヒ「短命花」

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世界に別れを告げる日に ひとは一生をふりかえって じぶんが本当に生きた日が あまりにすくなかったことに驚くだろう 指折り数えるほどしかない その日々の一つには 恋人との最初の一瞥の するどい閃光などもまじっているだろう /茨木のり子「ぎらりと光るダイヤのような日」

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もし心の傷が この痣のように 見えるものとして身体に刻まれていたら、わたしたちは互いのぶざまな有り様を ようやく笑い飛ばすことができるだろうか。身体中に包帯をなびかせて、胸を張って歩くだろうか。/文月悠光「救わない」

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雨の消える場所、雲の生まれてくるところ、ガラスがのみこんでいく光の粉々のことは明日になってもまだ知らない、二度と会えないことの意味、わたしたちも、あなたたちも、きっといつまでだって、まだ知らない。/川上未映子「茎の名前はまだ知らない」

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十年間をつぎつぎにとりだしたり しまいこんだりする六月には 委任統治権をくれてやれ。これから死んでゆく人びとの唾液のなかで 戦争も、都市とカップ一杯の恋も 最良の味になるために。(なりはしないとわれわれはいいたい) /堀川正美「必要なもの」

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女は人に可愛がられるのが幸福なのだ、という神話を、女の子をもつ親は信じていますが、でも女の両手はいつも可愛がるものを求めて宙にさし出されているのではないでしょうか。/田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」

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空が透きとおってきた。風が凪いで、遠くから 日の光が透きとおってきた。砂の色が透きとおってきた。ひとの影が透きとおってきた。悲しみが透きとおってきた。何もかもが透きとおってきた。昨日も明日もなかった。まぶしい今しかなかった。/長田弘「砂漠の夕べの祈り」

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もしも怒りの裏に本心なるものがあるとしても、そして仮にそれがある一語であらわせるとしても、それは弟の言葉として発せられるほか、わたしたちに出会う方法はないはずなのに。/向坂くじら「矮小な手のひら」

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生まれ落ちたからには あきらめましょう もらいものの手や足から 動かしてみるほかないのです 不安と恐怖と仲よくしながら 何をしでかす自分かと 見ていてやろうというよりほかに 誠実の解釈がありましょうか /覚和歌子「三月のオペラ」