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詩人 茨木のり子の会

@i_norikonokai

茨木のり子は2026年、生誕100周年を迎えます! 愛知県西尾市を拠点に2013年より活動する「詩人 茨木のり子の会」の公式Xアカウントです。会の活動報告、ふる里西尾でののり子さんの足跡、詩作品に散りばめられた「言の葉」の魅力を紹介していきます。会員随時募集しています。詳細はお問い合わせください。

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calendar_today30-06-2024 07:50:57

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くるみ洋半紙   東洋合板   北の誉   丸井クレジット   竹春生コン   あけぼのパン 街道の一点にバス待つと佇めば あまたの中小企業名 にわかに新鮮に眼底を擦過 必死の紋どころ はたしていくとせののちにまで 保ちうるかを危ぶみつ (「青梅街道」/『自分の感受性くらい』所収)

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生まれたときは何の痛みも知らず けろりと二本足で立ったのに 逝くときのあまりにひどい肉体の刑罰 それはないでしょう なんのための罠 (「四行詩」/『食卓に珈琲の匂い流れ』所収) #茨木のり子

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振りかえってみると、すべてを含めて、自分の意志ではっきりと一歩前に踏み出したという経験は、指折り数えて、たったの五回しかなかった。  1999年 秋           茨木のり子 (『倚りかからず』あとがき) *たったの5回しかというのが具体的ですね。「ぐらい」とか、曖昧な要素がない…

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獣めく夜もあった にんげんもまた獣なのねと しみじみわかる夜もあった (中略) なじみの穴ぐら 寝乱れの抜け毛 二匹の獣の匂いぞ立ちぬ なぜかなぜか或る日忽然と相棒が消え わたしはキョトンと人間になった 人間だけになってしまった (「獣めく」/『歳月』所収) #茨木のり子

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いいえ私は待っているの 私の敵を   敵は待つものじゃない   日々にぼくらを侵すもの いいえ邂逅の瞬間がある! 私の爪も歯も耳も手足も髪も逆だって 敵! と叫ぶことのできる 私の敵! と叫ぶことのできる ひとつの出会いがきっと ある (「敵について」/『見えない配達夫』所収)

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ふるさとのお墓に入るとき 寺でお経があげられた 僧二人 揃いも揃った音痴であって 朗々と声張りあげればあげるほど 調子はずれて収拾つかず (中略) なつかしいひとびとの忍び笑いにつられて いちばん笑ったのは 音感の鋭いあなただったかも…… (「お経」/『歳月』所収) #茨木のり子

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通りがかって 立ちどまり 動けなくなってしまった壺 裏をかえすと MADE IN SPAIN といつ おいつ 迷いつつ 遂に三千円を払って 大事に抱えた ゆきずりに捨て難い灰皿をみつけ 聞くと これもスペイン製 (「スペイン」/『人名詩集』所収) #茨木のり子 *どうしても心惹かれてしまうもの…

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父方の家は 川中島の戦いまでさかのぼれる 母方の家は 元禄時代までさかのぼれる その先は霞の彼方へと消えさるのだ けれど私の脈搏が 目下一分間七十の 正常値を数えているのは 伊達ではない (「系図」/『自分の感受性くらい』所収) #茨木のり子 *私たちの子孫が、正しい脈拍を刻める世の中に

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どの国も出自だの血統だの英雄などに 目がないんだ ああ はずかしい 分列行進の号令が大の上手 かしらァ みぎぃ 大根畑に向って号令の練習 退役将校に仕込まれていた 十六歳のわたくしが (「儀式」/「スクラップブック」から) #茨木のり子 *エッセイ「はたちか敗戦」に出てきます。

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眼よ 爛爛と光つておれ 耳よ ひらけ 眠りのさなかも 手よ ひそむがいい 銛のように (「めぐりくる夏の唄」/「スクラップブック」から) #茨木のり子 *それぐらいの気持ちでいないと、何も見つからないし、大切なものをぼろぼろと落としてしまう。研ぎ澄ますべし! と言っている。