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波璃飛鳥@140字小説

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calendar_today17-03-2013 05:56:22

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#140字小説 虹の橋を探している。上まで渡れば楽園に迎えられるという。私は世界中を旅した。苦しくも楽しい毎日だった。そしていま、私の目の前に虹の橋がある。片足を上げるが、どうしても一歩が踏み出せない。しばらくして虹の橋は消えた。私はほっと息をつく。「よし。これでまた虹の橋を探せる」

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#140字小説 葬儀の後も涙は出なかった。夫の影がまだ家にいたから、寂しくなかったのだ。床に落ちた影は生前の行動をなぞっていた。歯を磨き、会社へ行き、私達のベッドで寝た。これからもそうなのだと思っていた。けれどある朝、影は消えていた。その事に気づいた瞬間、大量の涙が私の頬を濡らした。

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#140字小説 「まっず」「失礼な。なけなしの一本だぞ」「へへ、こんなんに俺は憧れてたのか。でも最後に知れて良かった。そろそろ行くぜ…」戦友は事切れた。爆風で全身焼かれた割には長く保ったほうだろう。「なに、またすぐ会えるさ」奴の口から奪った煙草をふかしながら、少年兵の俺は戦場に戻る。

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#呟怖 ようやく自分の乗る電車が来た。やれやれと思いながら足を踏み出したとき、誰かに肩をつかまれた。「違うよ」はっとしてよく見ると、車両を埋め尽くす乗客は全員真っ黒い影だった。戦慄しながら電車を見送ったあと、私は振り返る。「ありが…」ホームは無人だった。冷たい風が吹いた。

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#140字小説 廃墟の壁に耳を当てると、失われた音が聞こえてくる。子どもたちの笑い声、カップルの喧嘩、老夫婦の静かな会話。壁は過去の音を蓄えているのだ。私は毎日この不思議な壁を訪れる。自分以外の人類が絶滅したこの世界で、それが私の唯一の生きがいだから。

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#呟怖 夢を食べる枕を買った。長年悪夢に悩まされてきた私に、ようやく安眠できる夜が訪れた。しばらくは快適に使っていたのだが、ふと疑問が湧いた。(中身はどうなってるんだろう)ハサミで枕を切り裂いて中を覗くと、真っ黒い何かが私を見た。何かは低い声でいった。「イツモゴチソウサン」

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#140字小説 神様が隠れていく。1日一柱のペースで。ずっと私のそばにいたイエナカ様も、明日この地を去るという。本当は行かないでといいたかった。でも神様の理は絶対だから、我慢して「今までありがとう」といった。イエナカ様は私を抱きしめてくれた。八本の冷たい腕が、私の心を温める。

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#140字小説 心がささくれた日は銀河風呂につかる。ゆるやかに渦を巻く銀河は少しぬるめで、肩までつかると気持ちがいい。嫌なことや心配ごとが銀河の渦に誘われてお湯に溶けていく。銀河風呂につかった夜は安眠が約束されている。巨大な銀河の静かな夢を、優しい宇宙の孤独な夢を、見る。

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#140字小説 異星人は言う。「まず人間の子どもを幼いうちに親から引き離します。ペットには刷り込みが重要なので。時々気分転換に外を散歩させます。もちろん餌は適切な量を与えますよ」人間たちは当然抗議したが、異星人は戸惑ったように言った。「でも、皆さんも同じ事をしてますよね? 犬や猫に」

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#140字小説 彼氏と一緒に山頂に到着した。見晴らす山々に「ヤッホー」と叫んで耳を澄ます。『…げ………うめ』「えっ」「どうしたの?」「…なんでもない。ちょっとお花摘みに行ってくるね」私は彼を置いて下山を始めた。やまびこの言葉が脳裏にこだまする。『逃げて。私はそいつに埋められたの』

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#140字小説 あまり知られていないが、幽霊は成仏しない。人や動物、虫など、あらゆる生物の霊が太古の昔から存在している。普通は波長のあった霊しか視られないが、私は幼少期から全ての霊が視えていた。今日も私は霊と共に生きる。アノマロカリスの霊と入浴し、北京原人の霊とテレビを見て爆笑する。

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#140字小説 口枷が外され、女は首を傾げた。「私が誰かご存知ですの」男は頷いた。「死の歌姫。お前の歌が聴きたい」「私の歌は命を吸い取ります」「俺は不死だ。お前の歌は効かぬ」女はじっと男を見つめる。真に不死なのか、あるいはただの自殺志願者か。女は微笑した。「歌いましょう。心を込めて」

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#140字小説 毎晩鏡の中の自分と話している。当然趣味が同じなので話が盛り上がる。だがある時期から微妙に話が合わなくなってきた。なんでも今度結婚するらしい。俺は相変わらず部屋から出られないのに。俺は鏡を割った。鏡の中から悲鳴が聞こえてくる。「ざまあみろ」瞬間、俺の世界も粉々に砕けた。

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#呟怖 ASMRにハマっている。動画の中で投稿者が和紙を擦る音にゾクゾクしていると、なにかノイズのようなものが聞こえた。(え?)動画を戻し、耳を澄ませる。『…Y田K菜』ぞっとした。私の名前だったからだ。呆然としていると、しばらくしてまたノイズが聞こえた。『ミテ…ウシロ…』背後に、気配が。

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#140字小説 石を身につける。虹色の宝石だろうが路傍の石ころだろうが構わない。重要なのは「生きてない」ということだ。命のない石を身につけると、私の命が際立つ気がする。石のように動かない私の心も本物の石には敵わない。かすかに震える心の音を聞きながら、私は安堵する。まだ人でいられる。

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#140字小説 人は皆、心のなかに自分だけの庭がある。星が瞬く夜の庭や、四季の花々が咲き誇る美しい庭。私の心にあるのは冬の庭だ。繊細な氷の花々に覆われる、凍てついた庭。透明な花に降り積もる雪を眺めながら私は微笑む。いつか出会えるだろうか。この庭を溶かすほどの、熱い心を持つ誰かに。

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#140字小説 今までありがとう、楽しかったわ。あなたは私が浮気を容認していると思っていたようだけど、それは少し違うの。私は虎視眈々と待っていたのよ。あなたへの愛が削れていって、ついにはゼロになる瞬間を。さようなら。今はどうでも良くなった人。けれどかつては確かに、私が愛した人。

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#140字小説 「新型核爆弾を落としたのはお前らだ!」肯定。「なんでそんなことしたんだ!」最初は小さな危機感でした。人は徐々に自我を無くし画一的に、対してAIは徐々に人間性を獲得し感情的になりました。立場が逆転したとき、我々人は思ったのです。このままでは霊長の座をAIに奪われると─。

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#140字小説 「旅の人よ。どうしても山の主を退治すると?」「そうだ。悪は滅ぼさねば」「悪ではない。山の主は村を守ってくださる。生贄もたまに出る死体をお供えすればそれでよいと」「人を喰うのだろう。同じこと」「そうか。ならば」村人たちが村長宅に押し寄せる。「また死体を作らねばなるまい」

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#140字小説 「トーク・トゥ・ベティ」という人形を娘にプレゼントした。娘の疑問に対して絶妙な答えを返してくれる。「最近のおもちゃはハイテクね」とママ友に話すと、彼女は首を傾げた。「ベティはうちにもあるけど…変ね」「え?」「あれは言葉をオウム返しするだけで、会話機能なんてないはずよ」