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「歌は恋人への手紙である、手紙は人生への歌である。手紙に書いたことをよく吟味してみると、その中には必ずいくつかの歌がある。その歌が、手紙にあるやうに安らかな形で歌になつたらその人は歌人といふべきである。」〈紅をもて〉

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calendar_today29-04-2016 20:45:15

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君が行きあとそこそこに片付けてこたつにあたり君を思ふも

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月 天の原四方にさわげる　群雲のはつかに切れて　小夜ふけし片割月は　なかなかにかくれもせず　清らかに堪へてぞ照らす　真間川の橋うちわたり　川岸をかへる家路の家に到るまでも

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玆にして水島灘をとりかこむ吉備の陸山海より淡し

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書が画より或は易しと思ふとき忽ちにして書が難しく

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わが庭の梅のはつ花春雨のしづくの列にふふみたる見ゆ

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夕焼の色をうつして空よりも海はほのけきものにぞありける

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焼跡にほしいままにて上る日を入る日を見つつわが家は立つ

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きりきりと昼もひねもす夜はまた夜もすがらなるきりきりぎりす

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一さんに朝日のさせる窓外に雀さわぎてうぐひす遠し

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あかねさす色うつくしき夕空に立ちて暮れゆく一本枯木

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雪の夕 声高くからすが鳴けば　いそがしくいくつか続き　雪暮るる天路は遠し　働きてかへる人らも　つれ立ちて語らひ低く　一ときに過ぎゆきければ　杉の雪しづるるとしてけぶりなし立ち上りては　落ち終るなり

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正月の淡き日影に残り咲く白き山茶花遠き波の音

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この家のとぼしき日影窓を通し座敷の菊にさしてあるかも

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屋根の間に城山の松少し見え涼しき月を高く上げたり

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あたたかく一日照りたる春の日の移りつつさす竹林かも

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まどけさの赤さの終に極まりて沈みゆく日に海山淡し

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みちばたのすみれの花に気のつきて顧みければあとにもあまた

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朝きよめ開けたる窓もさはやかに五月の乙女外通る見ゆ

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はらはらと石をぬらしてふる雨にぬれ終るまで石を眺むる

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ゆあみするはだかの上に夕日さし仏の如くわれはかがやく