「FMBツーデイライブ、最終日、最終演目での公開になります！！！」

………、…… ……ん？ ライブ？

「「えええええええ！？！？」」 少しの間があって、吹雪さんの言葉の意味を理解した後。スタジオ内で声が響いた。 その声は今回の審査メンバーだけで、訓練生の皆は「やってやった！」って感じで笑っている。

まさか、まさかまさか！！訓練生の皆がコソコソしてたのってこれか！？

「あっはっは！！良い反応〜！！ は〜っ、あははっ。まだまだ続くぞ〜、静かに！」

「訓練生にはね。無観客でリアルタイムでのライブビューイングでライブをするって伝えましたけど」

「ライブは、有観客で行います！」

「「ええぇええ！？」」 まさかの二段構え……。 さっきまで笑ってた訓練生の方からも声が上がった。「聞いてない！！」って野次も飛んでる……。

「有観客だと来れる人って限られてしまうので！来れない人の為にもちゃーんとリアルタイムでライブ映像もお届けいたします！これは本当！」

「君達がこのオーディションで積み上げてきたスキルを、努力を、応援してくれていた人達に見せないでどうするって言うんだ！」 「応援してくれている人達への恩返しといくぞ〜！！ 君達が輝く姿を待ち望んでいる人は、沢山いるんだよ」

ぱっと笑う吹雪さんの表情は今まで見てきた中で、一番明るくて眩しくて優しい。

「って事で、ライブ情報等はこのパートが放送され次第！順次公開予定です！ ライブで披露する曲には、メンバーが作成に携わったり、なんなら書き下ろした曲もあります！」

「え！？」と訓練生の皆の方へ視線を向ければ、またまた楽しそうに笑われた。 あ、これも！？これもコソコソしてたやつか！？

「番組を通して、SNSを通して、このオーディションを見守ってくださってありがとうございます」

「…オーディションメンバーの物語は、オーディションだけでは終わりません！終わらせるわけがない！ そして、これからもよろしくお願いします！彼らの活躍に乞うご期待！」

演説をするみたいに、高らかに話す吹雪さんの姿がテレビの中で見た姿と重なる。 遠い遠い存在だった人が、場所が、環境が。すぐ手を伸ばせば届く距離になった。

そんな場所に、おれは辿り着いた。 あの時、テレビを見て憧れた世界に来てしまったんだ。

もっと、もっと沢山の人に感動を与えたい！ おれの姿を見てもらいたい！ そして、あの時の俺みてえに！運命を変えたい！

だから、これからも歩み続ける。 こんな所で満足していたらダメだから、もっともっと輝いてみせるんだ。 改めて、心にそう誓った時。 新しい何かが始まる音がした。

✾エンドカード✾ 第12話終了 次回の更新もよろしくお願いします！