「薔薇といふ字をじつと見つめてゐてごらん。薔の字は、幾重にも内側へ包み畳んだ複雑なその花びらを、薇の字はその幹と葉を、ありありと想起させるやうに出来てゐる。この字を見てゐるうちに、その馥郁たる薫さへ立ち昇つてくる。」 （戯曲「薔薇と海賊」（1958年）三島由紀夫自作解題　より）

Le Mépris (Final Scene) youtu.be/f6FarXsaZIw YouTube

『群像』11月号で、渡邊英理「女たちの群像④」と小川公代「ジャッジメンタルな時代⑤」を読む。片や河野多恵子、片や源氏物語を主に語る。どちらも作品を圧縮して独自の世界を見せてくれていて、その仕方が素晴らしい。改めて文芸評論の重要な使命は良き圧縮（要約）であると思った。読めてよかった。

「作品を圧縮して独自の世界を見せてくれていて、その仕方が素晴らしい」 『群像』11月号掲載の連載「女たちの群像4」お読み下さり、うれしいです！再読した河野多恵子氏「骨の肉」「幼児狩り」『みいら採り猟奇譚』、やっぱりすごい作品でした。 あたたかいご感想、ありがとうございます！

落ちこぼれ商学部生→美大院卒が、今、考えるⅩⅩ③ シューマンのマンフレッド序曲をきいて🤔 Yoko Ozawa note.com/1631josephusyo…

多和田葉子『研修生(プラクティカンティン)』(中央公論新社) 野島直子『多和田葉子の地図』(彩流社) #志津に入荷してます

鈴木貞美『モダン都市の表現　自己・幻想・女性』読了。三十三年前の本。日本の都市大衆社会の原点である一九二〇年代の帝都・東京について、モダン・ガール、萩原朔太郎、江戸川乱歩、林芙美子、谷崎潤一郎、梶井基次郎などを横断しつつ論じる。新しい女、都市・群集への陶酔、分身・自己像幻視…。

多和田葉子『研修生』(中央公論社) 《ところが「おやすみ」のハグはすんなりとは終わらなかった。あれ、妙に長いな、と息をとめ、いつ終わるんだろう、どうなってしまうんだろう、と心臓の鼓動が速まり、そのうち服を通して背中に手のひらの温かさが感じられ、肩甲骨が溶けていった。膝を折り、腰を(…

8月に上演されたオペラ公演『ナターシャ』（多和田葉子台本）の無料配信が決定したそうです。

森まゆみ『『青鞜』の冒険　女が集まって雑誌をつくるということ』（平凡社）読了。十二年前の本。雑誌『青鞜』を一号一号丹念に追いながらその活動を活写する。著者の雑誌出版経験に基づき、らいてう、伊藤野枝他『青鞜』同人を伝説化することなく等身大の眼で批評的にとらえているのが印象的。

梶尾文武『戦後文学の相続者たち』（青土社）12月25日発売予定。大江健三郎、倉橋由美子、高橋和巳…。楽しみ！

多和田葉子『研修生』書評（評者・武田砂鉄）。「あの時あの人に出会っていなかったら。その裏には、あそこであの人と出会っていたのかもしれない、が存在する。枝分かれした道が無数にある。覚悟を決めて選んだ道があれば、知らぬ間に迷い込んだ道がある」。mainichi.jp/articles/20251…

多和田葉子『研修生』書評（書評者・大森静佳）「間をさまよう「わたし」」を書く。日独の＜間＞、友人マグダレーナとの関係における恋と友愛の＜間＞、学生と社会人の＜間＞、夢中で手紙を書く「わたし」の衝動が小説執筆に移行するまでの＜間＞、フィクションとノンフィクションとの＜間＞…。

晶文社から出ていたベンヤミン著作集は60年代末刊行開始。これを担った高原宏平と野村修は、京大教養部にいたドイツ文学者で、ベンヤミンと並行して、現代思潮社で出ていたローザ・ルクセンブルク選集（バウハウス風の装丁がめちゃカッコいいーでも完結していない）も手がけている。

11月５日のポスト、都合により削除しました。リプつけてくださった方々、すみません。

芸術作品とは「解けない問題」である｜千葉雅也 千葉雅也 Masaya Chiba note.com/masayachiba/n/…

◽️岩波新書　2026年1月の刊行予定 枝廣淳子『社会の価値の測り方――「見える化」で地域を豊かにする』 木村哲也『宮本常一 ――民俗学を超えて』 松本卓也『ジャック・ラカン――フロイトへの回帰』 ※書目、刊行時期は変更される場合があります

11月28日朝日新聞朝刊文芸時評（都甲幸治）↓多和田葉子『研修生』から、「一人の小説家が生まれた」記録を読み取るだけでなく、友人マグダレーナへの「深い後悔」のありようにまなざしを向ける。評者があげている箇所、私もしみじみと受け止めた。

河田育子『古典の小筥（こばこ）』KADOKAWA。かつて『新古今集』を読んで慄えあがり、「和歌の極北に臨んでいるよう」な感じと終末感を感じた著者（歌人）が、「失われた和歌に通じる一筋の道を探して」新古今集、中世和歌、古代和歌、源氏物語などの古典の森に分け入って書いた随筆・評論。よかった。

河田育子さんの『古典の小筥』（角川書店）が刊行された。古典和歌を題材とした日本文化論である。四十年の仕事をまとめている。読んで心が洗われるというのを、実感できる稀有な文章でもある。愛知に新古今を自在に語る天才論客がいると、四十年前、塚本邦雄から知らされた。 x.gd/wFBnx